Letter 生理:組織因子とPAR1は細菌叢が誘導する腸血管リモデリングを促進する 2012年3月29日 Nature 483, 7391 doi: 10.1038/nature10893 腸内細菌叢は、宿主の生理とともに進化してきた複雑な生態系である。無菌(GF)マウスに細菌叢を定着させると小腸内の血管密度増加が促進されるが、その機序はほとんどわかってない。組織因子(TF)は、外因系血液凝固経路を開始する細胞膜受容体であり、発生や腫瘍における血管新生を促進する。今回我々は、腸内細菌叢が小腸内でTFへの糖鎖付加とこれに伴うTFの細胞表面への局在化、凝固系プロテアーゼの活性化、TF細胞質内ドメインのリン酸化を促進することを示す。細菌叢を定着させたGFマウスに抗TF抗体を投与すると、小腸内で細菌叢が誘発する血管リモデリング、および血管新生誘導因子のアンギオポエチン1(Ang-1)の発現が低下する。TF細胞質内ドメインを遺伝的に欠失するマウス、あるいは活性が低いハイポモルフTF(F3)対立遺伝子を持つマウスでは、腸の血管密度が低下していた。TF下流の凝固系プロテアーゼは、血管新生に関係するプロテアーゼ活性化受容体(PAR)シグナル伝達を活性化する。PAR1欠失(F2r−/−)マウスでは、血管密度とTF細胞質内ドメインのリン酸化が低下していたが、PAR2欠損(F2rl1−/−)マウスでは低下は見られず、トロンビンの阻害によってトロンビン–PAR1シグナル伝達がTFリン酸化の上流にあることが示された。したがって、細菌叢が誘導する血管外TF–PAR1シグナル伝達ループは、修飾されると小腸で血管リモデリングに影響を与える可能性のある新規な経路である。 Full Text PDF 目次へ戻る