Letter 免疫:がんのエキソーム解析から明らかになったがん免疫エディティングのT細胞依存性機構 2012年2月16日 Nature 482, 7385 doi: 10.1038/nature10755 がん免疫エディティングは、免疫系が腫瘍のアウトグロース(outgrowth)を制御したり、腫瘍の免疫原性を形成したりする過程で、排除相、平衡相および逃避相の3つの段階からなる。この過程に関与する多くの免疫構成要素が知られているが、その基礎となる機序はほとんど解明されていない。がん免疫エディティングの中心となる考え方は、T細胞が腫瘍抗原を認識することで、増殖中のがんを免疫学的に破壊したり、その性質を変えたりするというものである。しかし、腫瘍抗原についての我々の現在の理解は、主に、正常な免疫系を持つ宿主に生じたがんの解析から得られており、そのため、すでにエディティングを受けている可能性がある。初期段階の腫瘍細胞に発現する抗原についてはほとんど知られておらず、このような抗原が腫瘍の発生を防ぐ抗腫瘍免疫応答を引き起こすことができるのか、あるいはそれら抗原の発現が免疫系によって調節されるのかはわかっていない。本論文では、大量平行塩基配列解読法を用いて、初期段階の原発性腫瘍細胞に表現型が類似している、Rag2-/-免疫不全マウス由来の免疫原性が非常に高いメチルコラントレン誘発肉腫に発現する変異の特徴を明らかにする。クラスI予測アルゴリズムを用いて、変異型スペクトリンβ2がd42m1肉腫の拒絶抗原である可能性を突き止め、従来の抗原発現クローニング法および抗原検出法によってこの予測を実証した。我々はまた、d42m1のがん免疫エディティングが、T細胞依存性の免疫選択過程を介して起こり、非常に抗原性の高い変異型スペクトリンβ2や他の強力な抗原候補を欠損する既存の腫瘍細胞クローンのアウトグロースを促進することも示す。これらの結果は、エディティングを受けていない腫瘍の強力な免疫原性が、非常に抗原性の高い変異型タンパク質の発現に起因しうることを示し、また、このような強力な抗原を欠損する腫瘍細胞のT細胞依存性の免疫選択の過程を介して起こるアウトグロースは、がん免疫エディティングの1つの機構であることを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る