Letter 物性:結晶粒界における規則配列した欠陥超構造の原子分解計測 2011年11月17日 Nature 479, 7373 doi: 10.1038/nature10593 格子欠陥を構成する原子を空間的に解像し、またそれを化学的に識別できれば、材料の構造と特性の相関性の理解がさらに深まるだろう。このことは、粒界がその特性や用途と密接に関係している多結晶材料では、特に重要となる。しかし、そのような原子分解能の実現は依然として容易ではない。その理由の1つは、粒界がさまざまな格子欠陥や不純物のシンクとなるからで、これにより粒界の構造変態が誘発されるとともに材料特性も変化する可能性がある。また、シンクの起源にかかわらず、格子欠陥と粒界の相互作用によって、粒界領域に存在する格子欠陥の正確な位置の特定と化学的な識別がさらに困難となる。したがって、粒界におけるさまざまな格子欠陥と材料特性との相関性については、いまだ不明な点が多い。今回我々は、最先端の電子顕微鏡法、電子エネルギー損失分光法および第一原理計算を組み合わせることによって、複雑な多成分元素を含有する粒界で、その原子位置の決定と化学種の同定の両方が可能な三次元画像を取得できたことを示す。また、分解能の高いこの手法によって、岩塩型構造の酸化マグネシウムの粒界でも、バンドギャップ中への電子捕獲をもたらす規則配列した欠陥超構造が形成されうることも実証できた。これらの結果は、セラミックスにおけるさまざまな格子欠陥と粒界の相互作用に関する新たな知見をもたらすとともに、材料内部の複雑な多成分構造体の原子スケールでの解析が可能になったことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る