Letter 免疫:自然免疫受容体RIG-IによるRNA認識と活性化の構造基盤 2011年11月17日 Nature 479, 7373 doi: 10.1038/nature10537 RIG-I(retinoic-acid-inducible gene-I;別名DDX58)は細胞質に存在する病原体認識受容体で、病原体関連分子パターン(PAMP)モチーフを認識して、ウイルス由来と細胞由来のRNAを識別する。RIG-Iは、5′-三リン酸(ppp)を有する、あるいは有さない平滑末端二本鎖(ds)RNAや、5′-pppを標識として選び出された一本鎖RNAおよびポリウリジン配列によって活性化される。そのようなPAMPモチーフと結合したRIG-Iは、シグナル伝達カスケードを開始させ、自然免疫防御や炎症性サイトカインを誘導し、抗ウイルス状態を確立する。RIG-I経路は高度に調節されており、そのシグナル伝達の異常はアポトーシスをはじめ、細胞分化の異常、炎症、自己免疫疾患、がんにつながる。RIG-Iのヘリカーゼおよびリプレッサードメイン(RD)は、dsRNAや5′-ppp RNAを認識して、シグナル伝達に関与するアミノ末端の2つのCARD(caspase recruitment domain)を活性化する。本論文では、RNAとの結合の際のRDとヘリカーゼの相助作用やRIG-I活性化へのATP加水分解の関与を明らかにするために、ヒトRIG-Iのヘリカーゼ-RDがdsRNAおよびATPアナログの1つと複合体を形成した状態の構造を決定した。ヘリカーゼ-RDは、dsRNAを囲むような環状構造を作り、dsRNAの片方の末端をキャップしながら、これまで知られていなかったdsRNA認識モチーフを用いて両方のRNA鎖と接触している。小角X線散乱法やタンパク質限定加水分解、示差走査蛍光定量法によって、RIG-Iは伸びた柔軟なコンホメーションをとっており、RNAと結合するとコンパクトな形になることが示された。これらの結果から、dsRNA認識におけるヘリカーゼの役割、RNAとの結合の際のRDとヘリカーゼの相助作用、またdsRNAと結合した完全長RIG-Iの構造編成についての詳細な考察が得られ、またRNA結合時のコンホメーション変化が実証された。RIG-Iのヘリカーゼ-RDのこういう構造は、dsRNAの巻き戻しなしでのトランスロケーション、およびRNAへの協調的な結合という考えと一致する。この構造は、自然免疫に関する全く新しい見解をもたらし、DICERやFANCMに見られる相同的なヘリカーゼドメインがかかわるRNA干渉やDNA修復などの他の生物学的領域にも広範な影響を与える。 Full Text PDF 目次へ戻る