キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリーに属する受容体は、ナチュラルキラー(NK)細胞に発現する多型性受容体の大きなグループを形成しており、特異的なペプチドを多く含むヒト白血球抗原(pHLA)クラスI分子を認識し、自然免疫応答で非常に重要な役割を担っている。three-domain KIR ファミリー(KIR3D、ドメインD0–D1–D2を持つ)内の対立遺伝子の多様性と広範囲にわたる多型は、pHLAとの結合特異性に影響を与え、ウイルス複製の制御や一部の血液系悪性腫瘍の治療転帰と関連付けられている。本論文では、自己ペプチドと複合体を形成したHLA-B*5701に結合しているヒトKIR3DL1受容体の構造を報告する。KIR3DL1がHLA-B*5701の抗原結合溝のカルボキシ末端のまわりに固定されると、pHLA表面上に連続しない2つの相互作用部位が生じる。第一に、KIR3Dファミリーを識別する特徴であるD0ドメインは、β2-マイクログロブリンに向かって伸び、HLA分子の限られた多型しか示さない1つの領域に隣接することで、「自然免疫のHLAセンサー」ドメインとして機能する。第二に、D2–HLA-B*5701接触面は高度な相補性を示したが、D1–pHLA-B*5701は最適な条件では接触しておらず、ペプチド内およびHLA分子の多型性領域内の両方である程度の配列多様性に適応していた。KIR2D(two-domain KIR)とKIR3DL1は、それぞれHLA-CおよびHLA-Bに同様に結合したが、それぞれのD1を介する相互作用は著しく異なっていることから、HLA-AおよびHLA-Bアロタイプのそれぞれに対するKIR3DL1の特異性についての手がかりが得られる。以上の結果を、KIR3DL1–pHLA-B*5701接触面における広範な変異誘発研究と合わせて、全霊長類で保存されているこの不可欠な自然免疫相互作用の特異性の必要条件の決定における、ペプチド多様性、KIR3DおよびHLAの多型の間の複雑な相互作用を理解する枠組みが提供される。