Letter 進化:モデル原始細胞での鋳型の指示に従った遺伝的ポリマーの合成 2008年7月3日 Nature 454, 7200 doi: 10.1038/nature07018 現在みられるリン脂質を基盤とする細胞膜は、金属イオンから複雑な栄養素に至る極性や電荷をもった分子を取り込むには、極めて手ごわい障壁である。そのため、現生細胞は周囲の環境との分子交換用の精巧なタンパク質チャネルやポンプを必要とする。細胞膜がもつ強力な障壁機能は、細胞生命の起源の解明を困難にしており、始原細胞が従属栄養的生活様式をとれるとは考えられてこなかった。ヌクレオチドはゲルからゾルへの相転移温度で生じる間隙を通ってジミリストイルホスファチジルコリン膜を通り抜けることができるが、リン脂質膜は膜の成長に必要な動的な性質を備えていない。脂肪酸やその対応アルコール、およびグリセロールモノエステルは、単純な両親媒性物質で二重層の膜に包まれた小胞を形成するので、原始細胞(protocell)細胞膜の構成成分として魅力的な候補である。こうした小胞は中に包み込んだオリゴヌクレオチドを保持でき、成長と分裂が可能である。今回我々は、このような膜はヌクレオチドのような荷電分子が透過可能であるため、モデル原始細胞の外部に加えた活性化ヌクレオチドが細胞膜を自動的に透過し、原始細胞内部で鋳型による効率的な複製にかかわることを示す。生物出現以前に存在してもおかしくない膜に透過性があることは、太古の原始細胞が巨大分子輸送装置がなくても周囲の環境から複雑な栄養素を取り込めたこと、つまり、それらが絶対従属栄養生物であった可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る