Letter 生態:絶滅リスクは確率性に寄与する要因に大きく左右される 2008年7月3日 Nature 454, 7200 doi: 10.1038/nature06922 自然個体群の絶滅リスクは個体に影響する確率的要因に左右され、そのような要因を組み込んだ確率モデルによって推定される。確率性は、個体レベルでの出生と死亡の確率的性質(人口学的確率性)、個体群レベルでの出生率と死亡率の時間や場所による変動(環境的確率性)、個体の性別、そして個体群内での個体間における生存率の差異(人口学的不均一性)の4つのカテゴリーに分けられる。これらの4要因すべてを組み込んだ機構的確率モデルはこれまで開発されておらず、4つの要因の絶滅リスクに対する複合的な影響は評価されていなかった。今回我々は、これらの確率的要因すべてを異なる組み合わせで用いる確率的リッカーモデル群を導出し、絶滅リスクは確率性に寄与する要因の組み合わせに大きく依存することを示す。さらに我々は、4要素すべてを組み込んだ完全な確率モデルを用いた場合にのみ、環境変動性と人口学的変動性の相対的重要性、したがって絶滅リスクを正確に決定できることを示す。我々は、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)の実験個体群で、完全モデルを用いた場合には人口学的に生じる確率性が変動性の主要因となるが、もっと単純な標準モデルのみを用いた場合には環境変動性が優勢だとする誤った結論に至ることを見いだした。今回の結果は、自然個体群に関する絶滅リスクの現在の推定値が大幅に低く見積もられている可能性を明らかにしている。それは、標準モデルは変動性が人口学的要因ではなく環境要因の方に起因すると考える点で誤っており、本論文では同じ変動性レベルであれば伴う絶滅リスクは人口学的要因の方が大きいことを示しているからである。 Full Text PDF 目次へ戻る