Letter 細胞:機能中の1個の膜タンパク質複合体の化学量論と代謝回転 2006年9月21日 Nature 443, 7109 doi: 10.1038/nature05135 細胞内の重要な反応の多くは、細胞膜に存在する複雑な生物機械によって行われる。細菌の鞭毛モーターは大型の膜貫通タンパク質複合体で、イオンによって駆動される回転モーターとして働き、液体中で細胞を推進させる。このモーターの中で、MotBはイオンの流れをトルク発生に結びつける固定子の構成成分であり、固定子を細胞壁につなぎ止める役割をしている。今回、大腸菌の機能をもつ鞭毛モーターを用い、単一分子レベルの精度でMotBタンパク質の化学量論的、動力学的性質および代謝回転について調べた。モーターの機能は、つなぎ止めた細胞体の回転によって観察し、モーター中の緑色蛍光タンパク質で標識したMotB分子(GFP-MotB)の数と動態を、全反射照明蛍光顕微鏡により同時に測定した。1個のGFP分子の段階的な蛍光退色によって蛍光発色団を数えたところ、各モーターには約22コピーのGFP-MotBがあることが明らかになった。これは、モーターには2個のMotB分子をもつ固定子約11個が含まれるという構造と一致する。また、膜にGFP-MotB分子約200個を含むプールがあり、GFP-MotB分子が約0.008μm2s-1の速度で拡散しているのが観察された。蛍光退色後の蛍光回復と蛍光退色中の蛍光の消失から、GFP-MotBが膜の貯蔵場所とモーターとの間で、0.04秒-1の速度定数で代謝回転していることが明らかになった。1個の固定子のモーター内滞留時間はわずか0.5分程度である。これは、機能している1個の分子機械のタンパク質サブユニットの数や速い代謝回転を直接測定した初めての例である。 Full Text PDF 目次へ戻る