Letter 医学:HIV特異的T細胞でのPD-1の発現はT細胞の疲弊と病気の進行に関係する 2006年9月21日 Nature 443, 7109 doi: 10.1038/nature05115 T細胞の機能障害は、マウスやヒトの多くの慢性ウイルス感染の特徴である。マウスの疲弊したウイルス特異的CD8 T細胞の表面では、活性化T細胞の負の調節因子である阻害性受容体PD-1(programmed death 1、PDCD1ともよばれる)が、著しく上方制御されている。PDリガンド1(PD-L1、CD274ともよばれる)に対する抗体を使ってこの経路を遮断すると、CD8 T細胞の機能が回復し、ウイルス量が減少する。ヒトの慢性ウイルス感染におけるPD-1の役割を調べるため、抗ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療を受けたことがない71人のクレードC感染者のHIV特異的CD8 T細胞で、標的となることが多いエピトープに対して特異性をもつ10種類の主要組織適合性複合体(MHC)クラスI四量体を利用してPD-1の発現を調べた。本論文では、これらの細胞でPD-1が著しく上方制御されていること、およびPD-1の発現がHIV特異的CD8 T細胞の機能不全と関連するだけでなく、病気の進行の予測指標とも関連があることを報告する。すなわちPD-1の発現は、血漿中のウイルス量とは正の相関、CD4 T細胞数とは逆相関がある。同様にCD4 T細胞でのPD-1発現も、ウイルス量と正の相関、CD4 T細胞数とは逆相関があり、この経路を遮断すると、HIV特異的CD4 T細胞とCD8 T細胞の機能が上昇した。これらのデータは、ヒトの持続的ウイルス感染の際には免疫調節性PD-1/PD-L1経路が働いていることを示しており、またHIV特異的T細胞の機能における可逆的な異常を明らかにするものである。さらに、この可逆的なT細胞阻害経路は、HIVの慢性感染で疲弊したT細胞の機能を増強するための標的になる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る