Letter 細胞:カルシニューリン/NFATシグナル伝達は膵β細胞の増殖と機能を調節する 2006年9月21日 Nature 443, 7109 doi: 10.1038/nature05097 膵島などの器官の成長や機能は、生理的な負荷に対処し、代謝のバランスを維持するために適応的に起こるが、こうした条件的な応答を制御する機構は明らかにされていない。シクロスポリンAなどのカルシニューリン抑制剤による治療を受けた糖尿病患者での研究からは、カルシニューリン/NFAT(nuclear factor of activated T-cells)シグナル伝達が膵島の適応応答を制御する可能性が示されているが、in vivoのβ細胞におけるこの経路の役割は解明されていない。本論文では、カルシニューリンのホスファターゼ調節サブユニットであるcalcineurin b1(Cnb1)をβ細胞特異的に欠失させたマウスは、β細胞の増殖やβ細胞量の低下、膵臓のインスリン含有量の低下および低インスリン血症を特徴とする、齢依存的な糖尿病を発症することを示す。さらに、Cnb1を欠損しているβ細胞では、β細胞増殖調節因子であることが確立している因子の発現が低下している。Cnb1欠損β細胞に活性型NFATc1を条件的に発現させると、これらの異常が救済され、糖尿病が予防される。正常成体マウスのβ細胞では、NFATの条件的活性化によって、細胞周期調節因子の発現が促進され、β細胞の増殖やβ細胞量が増加し、その結果、高インスリン血症が引き起こされる。また、NFATの条件的活性化で、β細胞の内分泌機能に極めて重要な遺伝子(単一遺伝子性2型糖尿病の遺伝型で変異している6つすべての遺伝子など)の発現も誘発される。したがって、カルシニューリン/NFATシグナル伝達は、増殖やβ細胞の特徴的な機能を制御する多数の因子を調節しており、このことから、糖尿病の発症機序や治療の独特なモデルが明らかになる。 Full Text PDF 目次へ戻る