Letter 気候:太平洋エルニーニョと「大西洋エルニーニョ」の間の関連性が不安定である原因 2006年9月21日 Nature 443, 7109 doi: 10.1038/nature05053 エルニーニョは、季節単位から年単位の時間スケールにおいて最も顕著な気候変動であり、熱帯大西洋の気候変動に遠隔作用を及ぼすことが以前から知られている。しかし、はっきりとした影響が観測されているのは、熱帯大西洋域北部においてのみである。赤道大西洋での変動では、太平洋エルニーニョに似た、北半球の夏季に異常昇温が不規則に起こることが特徴の「大西洋エルニーニョ」(Atlantic Niño)現象が卓越している。この大西洋エルニーニョは、ギニア湾沿岸のアフリカ諸国における季節単位の気候予測に大きな影響を及ぼす。太平洋エルニーニョと大西洋エルニーニョとの関係は、あいまいかつ不規則である。本論文では、観測とモデル解析を組み合わせて、この2つの間の関係が不安定なのは、エルニーニョに応答して起こる大気と海洋の物理過程の間で働く相殺的な相互作用の結果であることを示す。太平洋エルニーニョが大西洋エルニーニョに与える正味の影響は、太平洋エルニーニョのシグナルを熱帯大西洋へ伝える大気の応答のみならず、大気応答と逆方向に働く、赤道大西洋における海洋と大気の間の相互作用にも依存する。これらの結果は、熱帯大西洋における海洋観測システム改良の重要性を明確に示している。それは、大西洋エルニーニョの予測精度は、熱帯太平洋の諸条件についての知識だけでなく、赤道大西洋海洋上層の状態の正確な見積りにも依存するからである。 Full Text PDF 目次へ戻る