Article

気候:地球全体の炭素循環の変化に関連して起こった始新世における両極の氷河作用

Nature 436, 7049 doi: 10.1038/nature03874

約5,500万年前の始新世初期の「温室」気候という地球全体の極端な温暖状態から、氷河のある現在の状態への遷移は、地球の気候の時間発展で見られるもっとも顕著な変化の一つである。大きな氷床が3,400万年前にはじめて南極大陸に現れ、その出現が大気の二酸化炭素濃度の減少および世界の海洋における方解石の補償深度の深化と同期していたことや、北半球での氷河作用がこれにずっと遅れて1,000万年前から600万年前の時期に始まったことは、広く認められている。本論文では、温室から氷室への気候遷移をカバーする堆積物記録と有孔虫の地球化学的分析結果を示す。そして、方解石の補償深度の深化とその後の振動が、ほぼ4,200万年前から熱帯太平洋と南大西洋とで同期的に起こり、3,400万年前には深化が永続化したことの証拠を報告する。方解石の補償深度の最も著しい変動は、海水の酸素同位体比が1.5‰まで変化したことと時間的に一致して起こっており、両半球で相当量の氷が貯蔵されて地球全体の海水準が少なくとも100 mから125 m低下したことが示唆される。これと同時期に海洋底の炭素同位体比が1.4‰まで変動しており、炭素循環に大きな変化があったことがうかがわれる。温室から氷室への遷移は、大気中の二酸化炭素の時間発展に密接に結合していたと考えられ、3,400万年前よりも前には炭素循環の負のフィードバックが、大きな氷床の永続的な確立を妨げていたのかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度