Letter 行動遺伝学:ショウジョウバエの雄特異的遺伝子fruitlessは求愛行動の神経回路基盤を特定する 2005年7月21日 Nature 436, 7049 doi: 10.1038/nature03859 堅固な生得的行動は、環境からの手がかりが知覚され統合されて複雑な行動を生み出す仕組みを遺伝学的に分析するうえで魅力ある系である。ショウジョウバエの雄は求愛に際して、ステレオタイプ化された一連の生得的行動をとり、これらの行動は特定の感覚的手がかりによって調整される。しかし、この複雑な行動プログラムを生じさせる特異的な神経回路基盤についてはほとんどわかっていない。遺伝や発生、行動の研究から、fruitless(fru)遺伝子が、雄特異的な一群の転写因子(FruM)をコードし、これらの因子はショウジョウバエで求愛能力を確立するために働くことが明らかになっている。FruMタンパク質群は中枢神経系ニューロンのおよそ2%で発現し、これらニューロンのうち少なくとも一部は求愛を構成する諸行動を調整している。今回我々は、相同組み換えにより酵母のGAL4遺伝子をfru遺伝子座に挿入し、以下の4点を明らかにした。(1)FruMは、これまで求愛にかかわるとされていたすべての末梢感覚系のニューロン群で発現する。(2)嗅覚系の構成ニューロンでFruM機能を抑制すると、嗅覚依存性の求愛行動の変化が減少する。(3)すべてのFruM発現ニューロンを一時的に不活性化すると、求愛行動は完全に消失するが他の一般行動には著しい変化はない。(4)雌でのFruM発現ニューロンの「雄化」は、雄の求愛行動を起こさせるのにほぼ十分である。これらのデータを総合すると、FruMタンパク質が雄の求愛の神経回路基盤を特定することが実証される。 Full Text PDF 目次へ戻る