Article 医学:血清レチノール結合タンパク4は、肥満や2型糖尿病におけるインスリン抵抗性の原因となる 2005年7月21日 Nature 436, 7049 doi: 10.1038/nature03711 肥満および2型糖尿病においては、グルコース輸送体であるGLUT4の発現が脂肪細胞選択的に減少している。脂肪細胞特異的Glut4 (別名Slc2a4)ノックアウトマウス(adipose-Glut4-/-)は、筋肉および肝臓において二次性のインスリン抵抗性をきたす。本論文ではDNAアレイを用いて、adipose-Glut4-/-マウスの脂肪組織で、レチノール結合タンパク4(RBP4)の発現が増加していることを示す。インスリン抵抗性マウスや肥満および2型糖尿病を有するヒトにおいても血清中のRBP4量は増加しており、インスリン抵抗性改善薬であるロシグリタゾンによってRBP4量は正常化する。また、ヒトRBP4を過剰発現させたトランスジェニックマウスや、組換えRBP4を注射した正常マウスでは、インスリン抵抗性が惹起される。逆に、Rbp4遺伝子を欠損するとインスリン感受性は増強する。合成レチノイドであるフェンレチニドは尿中へのRBP4排泄を増加させるが、高脂肪食性の肥満マウスで血清中RBP4量を正常化し、インスリン抵抗性および耐糖能を改善する。血清中RBP4量の増加は、肝臓の糖新生にかかわる酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)の発現を誘導し、筋肉におけるインスリンシグナル伝達を低下させる。したがって、RBP4は脂肪細胞由来の「シグナル」として働いて、2型糖尿病の発症に関与するといえる。RBP4量を低下させることは、2型糖尿病治療の新たな戦略となる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る