Letter ウイルス:肺癌を誘発するヒツジレトロウイルスの構造タンパク質 2005年4月14日 Nature 434, 7035 doi: 10.1038/nature03492 Jaagsiekteヒツジレトロウイルス(JSRV)は、ヒツジおよびヤギに伝染性肺癌を引き起こし、動物の健康および経済に重大な影響を及ぼす。JSRVの宿主範囲は、ウイルスのエントリー受容体である、ヒアルロニダーゼ2(Hyal2)の種特異的な差による制限をある程度受ける。このHyal2は、マウスでは受容体として機能しないがヒトでは機能する。ヒツジがJSRVに免疫寛容を示すのは、ヒトを始めとする他の多くの種には存在しない、近縁の内在性レトロウイルスが発現するためで、これが発癌を促す可能性がある。本論文では、複製能力のないアデノ随伴ウイルスベクターを用い、マウスの肺でJSRVのエンベロープ(Env)タンパク質のみを発現させただけで、ヒツジの場合と同様に細気管支肺胞に限局した腫瘍が生じることを報告する。免疫不全マウスでは死亡例が認められたが、免疫状態が正常のマウスでは腫瘍発生はほぼ完全に阻害された。これらの結果は、発癌性ウイルスの構造タンパク質のまれな例であり、ウイルスのEnvタンパク質とウイルスエントリー受容体Hyal2との相互作用が腫瘍形成に必要ではないこと、またEnvが免疫系で認識されるとJSRVによる腫瘍形成が妨げられることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る