Letter

医学:ヒトの前癌病変におけるDNA損傷チェックポイントの活性化とゲノム不安定化

Nature 434, 7035 doi: 10.1038/nature03485

p53などのDNA損傷チェックポイント遺伝子はヒトの癌で変異を生じていることが多いが、このような遺伝子の不活性化に対する選択圧の詳細は未だ不明である。今回、p53遺伝子がいずれも野生型で、かつ著しい染色体不安定化の徴候が認められないヒト肺過形成群について解析を行い、ヒストンH2AXおよびChk2のリン酸化、p53の蓄積、p53結合タンパク質1(53BP1)の限局的染色、アポトーシスといったDNA損傷応答の徴候を認めた。癌への進行にはp53または53BP1の不活性化およびアポトーシスの減少が関与していた。DNA損傷応答は、異形成母斑およびヒト皮膚移植片でも認められたが、こうした組織では成長因子の過剰発現によって過形成が誘導されていた。肺および実験的に誘発された皮膚過形成のいずれにおいても、DNA複製異常時にDNAの二本鎖切断を受けやすい遺伝子座(一般的な染色体脆弱部位)における対立遺伝子量比不均衡が認められた。癌の発生は、その最も早い段階からDNAの複製ストレスと関連しており、これがDNAの二本鎖切断、ゲノムの不安定化、p53変異に対する選択圧につながると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度