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生化学:Tip60とβ-カテニン複合体による転移抑制遺伝子の転写制御

Nature 434, 7035 doi: 10.1038/nature03452

ホメオスタシスや疾患にきわめて重要な特定の遺伝子プログラムの発現にかかわる種々のシグナル伝達経路を統合する分子戦略を明らかにすることは、生物学における中心的課題である。これは特に癌の生物学的研究とは関係が深いが、それは腫瘍転移抑制遺伝子の発現抑制はよく見られる現象でありながら、その分子メカニズムがまだ解明されていないためである。本論文で我々は、前立腺癌における転移抑制遺伝子KAI1の発現抑制には、レプチン・クロマチン再構築複合体に加えて、β-カテニンの阻害活性が関与することを報告する。このβ-カテニン-レプチンの阻害作用には、β-カテニンの発現上昇とヒストン脱アセチル化酵素活性の動員が必要であった。抑制状態を保つβ-カテニン-レプチンコンポーネントの協調した作用は、活性化に必須なTip60コアクチベーター複合体に拮抗する。これらの相反する作用を持つ複合体のバランスがKAI1の発現と転移能を制御している。転移抑制遺伝子 KAI1に対するβ-カテニン-レプチンとTip60コアクチベーター複合体の拮抗的制御の基礎となる分子メカニズムは、NF-κBの標的遺伝子群の一部を含む、多くの遺伝子の選択的な発現抑制様式の基本的な形ではないかと考えられる。

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