Letter

材料:有機高分子中のレーザー作用による化学センシングの感度向上

Nature 434, 7035 doi: 10.1038/nature03438

セキュリティ強化に対する社会の需要が増し、化学および生物センサーの感度の劇的改善が求められている。この課題に応えるため、分析科学の力点は高い非線形性をもつ材料やデバイスへと向かっている。半導体有機高分子(SOP)は、励起状態(励起子)輸送が起こりやすいため、優れた増幅材料の一種である。SOPはレーザー材料としても有望とされてきたが、光学損傷を受けやすいことからこれまで応用が限られていた。今回我々は、光学ポンピングされたSOP薄膜におけるレーザー作用の減衰が、自発放射の場合に比べると、爆発物の蒸気に対して30倍以上の感度を示すことを報告する。これを達成する上で重要だったのは、薄膜量子収率が高く、大気中での光学損傷閾値が高く、レーザー閾値が記録的に低い信号変換高分子の開発であった。爆発物の2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)や2,4-ジニトロトルエン(DNT)のごく微量の蒸気があると、誘導放射と競争する無放射不活性化経路が生じる。これにより起こるレーザー作用の停止とそれに伴う感度増強は、レーザー閾値付近の強度で膜をポンピングした時最も顕著となることがわかった。増幅物質とレーザー作用の組み合わせによる高感度化は、比類ない感度で爆発物を検出できるセンサーの実現につながる。

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