Letter

細胞:ヒトの脳腫瘍を発生させる細胞の同定

Nature 432, 7015 doi: 10.1038/nature03128

癌幹細胞(CSC)仮説では、新生物クローンはすべて、幹細胞の性質をもつごく一部の細胞によって維持されると考える。ヒトの白血病ではCSCの存在が確認されているが、乳癌以外の固形癌では、CSCが存在する証拠はほとんど見つかっていない。最近我々はヒトの脳腫瘍から、in vitroで幹細胞の特性を示すCD133+細胞集団を単離した。しかしCSCの真の特徴は、自己再生能ともとの腫瘍を正確に再現する能力である。今回我々は、異種移植検定法を開発し、in vivoで腫瘍を発生させるヒト脳腫瘍イニシエーター細胞を同定したので報告する。NOD-SCID(非肥満性糖尿病/重症複合免疫不全症)マウスの脳に腫瘍を発生させる力をもつ細胞は、CD133+細胞群にしか含まれない。CD133+細胞をわずか100個注射するだけで腫瘍が形成される。この腫瘍は継代移植が可能で、しかも患者のもとの腫瘍と表現型が同じだった。一方、CD133-細胞を105個注射すると、生着したが腫瘍化はしなかった。このように脳腫瘍を発生させる細胞の同定によって、ヒト脳腫瘍の病因についての手がかりが得られ、多くの固形癌の基盤としてもCSC仮説が強く支持される。またこれによって、より効果的な癌の治療法に利用できる、これまで知られていなかった標的細胞が判明した。

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