Letter

気候:同位体モデリングによるハインリッヒ・イベント4の期間と淡水放出量の推定幅の制限

Nature 432, 7015 doi: 10.1038/nature03059

最終氷期中に生じた氷床の不安定性に起因する気候の急激な寒冷化現象であるハインリッヒ・イベントは、北大西洋全体にわたる堆積物コアに記録されている。ハインリッヒ・イベントを引き起こしたと思われる物理的メカニズムはモデリング研究によって説明されてきたが、その定量的な特性はあまり分かっていない。本論文では、大洋中の酸素同位体の分布を正確に計算する中間的な複雑度の気候モデルを用いて、約4万年前のハインリッヒ・イベント4をシミュレートした。このハインリッヒ・イベントの一群のシナリオを、広範囲にわたる堆積物コアの有孔虫方解石で測定された酸素同位体のデータと比較した。この比較から、ハインリッヒ・イベント4について、期間は250±150年間、氷の融解量は海水準で2±1 mに相当するという値が得られた。これらに関する従来の推定値はそれぞれ、2,000 年以内と海水準で 15 m以下だったので、両方の値に関して不確かさが大きく減少したことになる。これらの結果は、少なくともグリーンランドの気候と海水準に関しては、ハインリッヒ・イベントの影響は以前考えられていたよりも大きくなかった可能性を示している。

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