Letter 生態:ゴマシジミ属のチョウにみられる2つの寄生的生活史の進化 2004年11月18日 Nature 432, 7015 doi: 10.1038/nature03020 ゴマシジミ属(Maculinea)のチョウは、旧北区全体で絶滅が強く危惧されていて、保護対策強化研究の中心的存在となっている。また、その風変わりな寄生的生活様式から、生活史進化に関する理想的な研究対象でもある。このチョウは、若齢期には特定の宿主植物の花芽を食べるが、四齢になるとアリの巣の中に移る。幼虫はそこで、アリの仔を食べる(捕食種)か、またはアリの成虫から口移しで餌をもらう(「カッコウ」種)。本論文では、この群の系統関係を報告し、このチョウが、構成種が似た生活史を示す数少ない東洋区のPhengarisの単系統クレードであることを示す。カッコウ種は、捕食性の祖先から進化してきた可能性が高い。早くとも500万年前に2つのゴマシジミ(Maculinea)のクレードが分岐し、今日この属にみられる異なる寄生的戦略を示すようになった。従来の考え方に反して、既知の2種のカッコウ種は遺伝的多様性をほとんど示さないので、生態学的に分化した1つの種であると考えられる。一方、捕食性形態種の一部は、かなりの遺伝的多様性を示し、隠蔽種からなる可能性がある。今回得られた知見は、保全および再導入の取り組みに関して重要な意味をもつ。 Full Text PDF 目次へ戻る