【生態】マダガスカルでカエルツボカビが見つかる
Scientific Reports
2015年2月26日
マダガスカルの多様な両生類個体群が感染性の病原性真菌「ツボカビ」の脅威にさらされている可能性があることを示唆する論文が、今週掲載される。これまでマダガスカルで報告されたことのなかったカエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis、Bd)が最近移入したからだと思われるが、Bdの野生種がこれまでも存在していて、それが初めて発見されたという可能性も排除できない。
ツボカビ症は、Bdを原因とする新興感染症の一種で、両生類種の個体数減少や絶滅と関連付けられてきた。Bdは、ほぼすべての大陸で検出されているが、パプアニューギニア、マダガスカルなど一部の地域ではツボカビ症は発生していないと考えられている。これに対して、2005~2014年にマダガスカルで実施されたBdの調査において、2010年に野生の両生類からBdが検出されたことをMolly Bletz、Goncalo Rosa、Franco Andreoneたちが報告している。その後2010~2014年には、別の5つの地域でBdが新たに記録されているが、最近になってマダガスカルに移入したのか、もともとマダガスカルの固有種だったのかという点は明確になっていない。
マダガスカルにBdが存在することに伴う弊害を示す証拠は、これまでのところ見つかっていない。Bdを保有する両生類にツボカビ症の徴候が見られず、Bdが関連した死亡例の報告もないのだ。それでも、Bletz、Rosa、Andreoneの研究グループは、マダガスカルにおけるBdの存在を継続的に監視して、Bdが同国内の両生類個体群を脅かすようになった時に有効な対策を取れるように準備することを推奨している。
doi:10.1038/srep08633
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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