サンゴ礁の成長にとっての限界点を知る
Nature Climate Change
2015年2月24日
パナマの太平洋岸に生息するサンゴ礁の成長停止に関連する過去の環境条件についての報告が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究は、今後の人間活動による気候変動によって熱帯東太平洋でサンゴの成長停止が起こる可能性を示唆している。
サンゴ礁は、重要な海底生態系で、そこにはさまざまな海洋生物が生息している。今から約4100年前、気候・海洋条件の変化によってパナマの太平洋岸や太平洋のその他の地域で数種類のサンゴ礁の発達が止まり、それが2500年間続いた。今回、Lauren Tothたちは、サンゴ骨格の地球化学的性質を分析して、コンタドーラ島(パナマ)に生息している年齢6750年のサンゴ礁の成長停止期の前後の環境状態と生理状態を再現した。その結果(海水の透明度を低下させ、サンゴに到達する光の量を減少させる)気温と降水量の変化によって、サンゴが正常な発達を維持できる範囲を最終的に超えてしまったことが明らかになった。こうした成長の停止と関連していたのがエルニーニョ/南方振動だ。今後は、その頻度も深刻度も増すことが予想されている。この成長停止期の直前にサンゴの光合成活動と構造の完全性が低下していることも分かったが、そのことは、生態系が崩壊する場合にあらかじめ初期兆候が現れるという仮説を裏付けている。
Tothたちは、現在のコンタドーラ島の平均海水温度が、前回の成長停止期以前にサンゴの成長を支えていた最高温度に近づいていることを報告している。熱ストレスが増加すると、近い将来、サンゴ礁が大きな被害を受けると予測されている。
doi:10.1038/nclimate2541
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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