Research Press Release
氷河の動きの季節変化
Nature Geoscience
2010年5月10日
夏季における西グリーンランド氷河の氷の速度は冬季の値よりも220%以上大きい、とNature Geoscience(電子版)に報告されている。この発見は、表面の融解と氷河下の排水系変動に対する氷河の動きの応答を理解するうえで重要である。
I Bartholomewらは、グリーンランド氷床西縁の35 kmの測線に沿ったGPS受信機を用いて、2008年の夏季とその後の冬季までを通して氷の速度を測定した。彼らは、氷の表面が隆起するのと一致して氷の速度が増加することを見つけたが、これは、表面の溶けた水が氷河の底まで運ばれていることを示唆している。
Bartholomewらは、夏季の融解する季節がより長くより暑くなると、融解水に応答した氷河の加速はさらに内陸まで及び、氷床のより広い地域から氷を取り去ることになると結論している。
doi:10.1038/ngeo863
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature