Research Press Release
長期の抗体生産を調節する予想外の因子
Nature Immunology
2010年5月10日
表面分子PD-1が、長寿命の抗体分泌細胞を生産するカギを握っていることが判明した。以前の研究では、PD-1が慢性感染の際に免疫応答を制限する阻害因子として働くことが明らかになっていた。今回の発見で、PD-1の新たな正の役割が明らかになった。
M Shlomchikたちは、PD-1が長寿命の抗体産生細胞の生成に必要なことを明らかにした。免疫系のヘルパーT細胞で発現されるPD-1は、免疫系のB細胞状で発現される受容体(PD-L1とPD-L2)と相互作用する。この結合は、リンパ節と脾臓の胚中心とよばれる特殊な領域で起こり、B細胞はそこで「教育されて」、特異的抗体を産生する細胞になる。PD-1やその受容体をもたないマウスは、胚中心が不完全で、抗体を分泌する記憶B細胞を大量に作ることができなかった。
doi:10.1038/ni.1877
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:アンモライト宝石が鮮やかな色を得る仕組みScientific Reports
-
古生物学:小さなティラノサウルスの謎Nature
-
生物学:新しい抗毒素が蛇咬傷から守るNature
-
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
-
細胞生物学:ホッキョククジラの長寿の謎が解明されるNature
-
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
