Research Press Release
インドネシアでの森林減少
Nature Climate Change
2014年6月30日
インドネシアの原生林の減少速度が、ブラジルのアマゾン熱帯雨林の減少速度を上回っているという推定結果が明らかになった。この結果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。この新知見は、2011年5月から実施されているインドネシアでの森林伐採凍結措置が功を奏していないことを示唆している。
木材の伐採と農地への用途転換による熱帯林の開拓は、温室効果ガス(特に二酸化炭素)排出の一因となっており、その結果、地球温暖化を激化させている。また、独特な森林性生息環境が破壊されると、生物多様性が減少し、手付かずの森林による生態系サービス(例えば、栄養循環)が損なわれる。原生林の減少は、多くの開発途上国で起こっており、おそらく、アマゾン川流域の熱帯雨林が最もよく知られた事例であるかもしれない。これとは対照的に、インドネシアでの森林減少の速度や過程については、共通の認識が得られていない。
今回、Belinda Margonoたちは、この未解明の論点に取り組むため、ブラジルでの森林減少速度の鈍化とは対照的に上昇しているインドネシアの原生林の減少速度を定量化した。その結果、インドネシアの原生林の減少量は、2000年から2012年にわたって年平均47,600ヘクタール増加したことが判明した。
doi:10.1038/nclimate2277
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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