Research Press Release

【筋再生】愛があれば筋肉は衰えない

Nature Communications

2014年6月11日

オキシトシンというホルモンは、しばしば「愛のホルモン」と呼ばれるが、老化に伴う筋機能の低下を防ぐ作用もあることがマウスの研究で明らかになった。これがヒトでも確認されれば、骨格筋の老化を予防し、あるいは元に戻すための新しい治療法が得られるかもしれない。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。

損傷を受けた骨格筋組織が再生する能力は、年齢とともに低下し、筋組織は徐々に失われていく。少なくともその一因となっているのが、老化した組織中での筋幹細胞の阻害だとされている。

今回、Wendy Cousinたちは、雄のマウスで、オキシトシンの血中濃度が年齢とともに低下することを報告している。オキシトシンは、これまで出産、授乳、社会的行動において役割を担っていることが知られていた。また、Cousinたちは、老齢マウスにオキシトシンを投与したところ、骨格筋の再生能が回復することも明らかにした。こうしたオキシトシンの作用は、筋幹細胞への直接作用を介したものだと考えられている。さらに、Cousinたちは、老化に伴う筋肉の再生能の低下が、オキシトシンを産生できない雄のマウスで急速に進行することも明らかにした。

オキシトシンは、既に臨床での使用が承認されているため、この新知見がヒトで確認されれば、今回の研究から示唆される臨床応用が加速する可能性がある。

doi:10.1038/ncomms5082

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度