Research Press Release

細菌が毒素を食物に変える

Nature Chemical Biology

2014年3月24日

宿主細胞に対する毒性に重要であることが知られる細菌遺伝子が、この細菌に対する哺乳類由来の阻害物質を食物に転換する酵素をコードしていることが明らかにされ、その研究成果が今週のオンライン版で発表される。

最近の研究により、一部の哺乳類細胞が細菌感染に反応してその物質「イタコン酸」を産生することが明らかにされている。イタコン酸は細菌代謝の重要な酵素を阻害し、細菌の増殖を抑制して感染の排除を支援する。細菌は過酷な宿主の環境での生存を増進する機構を複数持っていることが知られているが、イタコン酸による阻害を妨げる仕組みは明らかにされていなかった。

Ivan Bergたちは、細菌の毒性に重要であることが知られている一群の遺伝子が、実は宿主細胞のイタコン酸を単純な構成要素に分解する酵素をコードしていることを明らかにした。それによって生じた構成要素は細菌細胞が通常の代謝経路で利用し、細胞の増殖に用いられる。研究チームは、非病原性種を含む多くの細菌にその遺伝子が存在することを明らかにし、その経路が多くの環境で選択的優位性をもたらすことを示唆している。

doi:10.1038/nchembio.1482

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度