Research Press Release
ヒト白血病幹細胞の培養
Nature Methods
2014年2月24日
Culturing human leukemia stem cells

実験室でヒト白血病幹細胞を増殖させる培養条件が、今週のオンライン版の論文で発表される。このがん幹細胞を体外で増殖させることができれば、その自己複製機序に関する基礎研究が進展するとともに、この細胞の増殖能力を遮断する薬物のスクリーニングが可能になると考えられる。
白血病幹細胞は、薬物による攻撃が特に困難と考えられており、がん再発の原因となっている可能性がある。この細胞の研究で大きな障害となっているのは、培養するとがん幹細胞として機能して疾患を引き起こす能力を急速に失うため、in vitroで増殖させることができないという事実である。
Guy Sauvageauたちは、培地に添加するとin vitroで7日間にわたって機能性ヒト白血病幹細胞の増殖を改善することができる低分子を2種類発見した。両者の作用が相加的であったことから、それぞれが別々の経路に影響することが示唆された。通常この細胞はin vitroで増殖させると分化するが、この薬物は細胞の分化を遮断する作用を示した。
doi:10.1038/nmeth.2847
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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