Research Press Release

炎症を抑えるナノ粒子

Nature Nanotechnology

2014年2月24日

薬物封入ナノ粒子の標的化送達によって、マウス肺における炎症性組織障害が回避されうることが、今週のオンライン版に報告されている。この研究結果は、急性肺障害や敗血症といったさまざまな炎症性疾患に代替治療法をもたらす可能性がある。

好中球は、白血球の一種であり、体内の損傷部位や感染部位で働く。しかし、活性化される好中球が多すぎると、炎症や組織障害を引き起こす。Asrar Malikたちは、アルブミン(血液中のタンパク質なので生体適合性をもたらす)からナノ粒子を作製し、その中にピセアタンノール(抗炎症性薬物)を封入した。作製した薬物封入ナノ粒子は、損傷部位ではなく肺の内面に付着していた活性化好中球に取り込まれた。これにより、好中球が解放され、感染部位への移動が可能になった。また、炎症兆候を示すマウスに薬物封入ナノ粒子を静脈内投与すると、ナノ粒子が好中球の炎症誘発機能を不活性化するため、持続性肺障害を防ぐことが確認された。

Malikたちは、今回の薬物封入ナノ粒子が免疫系とともに機能して感染から体を保護し、好中球の過剰蓄積による損傷を制限し、抗炎症治療のためのフレキシブルなプラットフォームをもたらすと考えている。

doi:10.1038/nnano.2014.17

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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