Research Press Release
【がん】B細胞白血病の原因解明に一歩前進
Nature Communications
2014年2月19日
通常は腎臓に存在するレニンというタンパク質を発現する免疫細胞が、B細胞白血病の一種を引き起こすことが判明し、この免疫細胞が、さまざまな種類のB細胞白血病を引き起こす要因と機構の同定を目指す研究に新たな道を開く可能性が浮上した。こうした研究成果について報告する論文が、今週掲載される。
今回、Ariel Gomezたちは、マウスにおいて、レニン(腎臓で分泌されるタンパク質)を発現する前駆細胞を同定した。そして、このレニン陽性の前駆細胞は、マウスの免疫細胞集団の1つであり、老化に伴って減少することも分かった。また、マウスを用いた実験で、レニン陽性前駆細胞から重要なシグナル伝達分子を欠損させたところ、この前駆細胞において、細胞運命に関連する遺伝子が発現し、このマウスが、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫を発症した。この新知見は、マウスの実験で得られたものであり、これをヒトの白血病に外挿できるかどうかは分からないが、この種の白血病の研究に役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms4273
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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