Research Press Release

古生物学:「トサカ」を持つ爬虫類が羽毛の進化理論を揺るがす

Nature

2025年7月24日

三畳紀の爬虫類の背中に、羽毛でも皮膚でもない付属器官の「トサカ(クレスト)」があることを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。約2億4,700万年前の化石を分析した結果、羽毛や毛のような突起は、鳥類や哺乳類に特有のものではないことが示された。

羽毛や毛は、脊椎動物の外側にある複雑な付属器官の一例であり、体温維持や感覚補助、外見上の演出、および飛行への寄与などといった重要な機能を持っている。羽毛と毛は、それぞれ鳥類と哺乳類の幹系統に起源を持つ。しかし、これらの付属器官を発達させる遺伝的ツールキットは、無脊椎動物(爬虫類、鳥類、哺乳類を含む動物の一分野)に深く根ざしている可能性が高い。

Stephan Spiekmanら(シュツットガルト州立自然史博物館〔ドイツ〕)は、背中に最大の長さ153ミリメートルに達する特徴的な付属器官のトサカを持つ小動物を発見した。この爬虫類の頭蓋骨は、表面的には鳥に似ているが、Drepanosauromorphaと呼ばれる三畳紀の爬虫類のクレードに分類され、Mirasaura(不思議な爬虫類の意)と名づけられた。観察は、羽毛を持つ保存状態の良い2体の骨格と、単離された付属器官と軟部組織が保存された80体の標本を基に行われた。すべての化石は約2億4,700万年前のものと推定され、最初の化石は1930年代にフランス北東部で発見されたものの、近年準備が進められるまで、未確認のままだった。これにより、トサカと骨格が互いに関連づけられるようになった。

付属器官内に保存されている組織にはメラノソーム(皮膚、毛、および羽毛に見られる色素産生細胞)が含まれており、爬虫類皮膚や哺乳類毛よりも羽毛によく似ているが、羽毛に見られる典型的な枝分かれパターンはない。これらの発見は、鳥類やその近縁種が誕生する以前から、爬虫類の間でこのような複雑な付属器官が進化していたことを示唆しており、羽毛や毛髪の起源について新たな知見を与えてくれるかもしれない。Spiekmanらは、Mirasauraに見られる付属器官の機能について、飛行やカモフラージュの役割は除外し、代わりに視覚的コミュニケーション(シグナル伝達や捕食者の抑止)の役割の可能性を示唆している。

Spiekman, S.N.F., Foth, C., Rossi, V. et al. Triassic diapsid shows early diversification of skin appendages in reptiles. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09167-9
 

doi:10.1038/s41586-025-09167-9

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