Research Press Release
古代の温暖化は野火の危険を増大させた
Nature Geoscience
2010年5月24日
2億年前の温暖な気候はグリーンランド東部で野火の活動を増大させたと、Nature Geoscience(電子版)に発表された研究が示している。火事の危険が増したことは、温度が上昇したことばかりでなく、ジュラ紀の森林ではより燃えやすい植生へと気候が原因で変化が生じたことと関連していた。
C Belcherらは、グリーンランド東部の化石を多く含んだ堆積物に保存された植物の残留物と木炭を研究した。彼らは、三畳紀とジュラ紀の境界の時期では気候が温暖化していた証拠とともに野火の活動が増加したことを示す木炭の証拠を発見した。彼らはまた、植生の変化も指摘しており、三畳紀には幅の広い葉をもつ植物が優勢であり、ジュラ紀には細くて針状の葉をもつ植物が支配的であったということである。室内実験では、ジュラ紀の種類の葉はより発火しやすく、火災が広がりやすいことが確認されている。
研究チームは、少なくともグリーンランド東部では植生の変化が、温度の上昇とより頻繁に起きる嵐と共にジュラ紀前期において火災の危険を増大させたと結論付けている。
doi:10.1038/ngeo871
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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