Research Press Release
思い出した情緒的記憶の変質
Nature Neuroscience
2013年12月23日
ヒトにおける情緒的記憶は思い出したすぐ後に電気痙攣療法(ECT)を用いると混乱する可能性があるとの研究が、今週のオンライン版に報告されている。
Marijn Kroesたちは、電気痙攣療法(ECT)を受けているうつ状態の患者39人について記憶状況を調べた。患者らは情緒的に不愉快な話を2つ、音声付きのスライドショーの形式で教えられた。1週間後に、その話のスライドのうち一部を見せて患者らの記憶を呼び起こし、一部の患者にはその直後にECTを施した。翌日、最初のスライドのうち抜けていた部分の話の内容を述べるように患者に促したところ、呼び起こした記憶は、ECT処置を受けた患者ではあまり正確ではなく、2回目に見た話の内容はこの処置の影響を受けていなかった。
これらの結果は、ECTが時間に依存するやり方で情緒的記憶の強化に選択的に影響を及ぼし、嫌悪記憶や抑うつ記憶の健忘症を選択的に誘導するのにこれが利用できるかもしれないことを示唆している。
doi:10.1038/nn.3609
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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