地質学:南極の氷結大地からダイヤモンドが見つかる
Nature Communications
2013年12月18日
南極にダイヤモンドが存在する可能性について報告する論文が、今週、掲載される。今回の研究で得られた知見で、白亜紀のキンバーライト地域が環境保護地域の南極まで広がった。キンバーライトは、世界の多くのダイヤモンドが採掘される岩石層だ。
高価な宝石であるダイヤモンドは、地底100マイル(約160キロメートル)にあるマントルの溶融した岩石中で、加熱加圧されて形成する。それから数百万年後、ダイヤモンドは強力な噴火によって地表に運ばれ、キンバーライトという火成岩層に貯蔵されている。これまで、キンバーライトは、南極を除く全ての大陸に存在することが報告されていた。今回、Gregory Yaxleyたちは、東南極の広大なプリンスチャールズ山の一部をなすマウントメレディスの南東斜面で得た地質試料を解析した。そして、グループIキンバーライトに特有の組織データ、鉱物学的データと地球化学的データを示し、南極で正真正銘のキンバーライトが形成され、ダイヤモンドが存在している可能性について報告している。
南極は、「環境保護に関する南極条約議定書」(通称「マドリッド・プロトコル」)によって鉱石の採掘が禁止されているが、その有効期限は2041年となっている。しかし、この氷原での採掘活動には、多大なロジスティクス上の問題があるため、今後、南極で「氷」の新種が発見されたとしても、この議定書の期間延長に反対する意見はほとんど出ないと予想されている。
doi:10.1038/ncomms3921
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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