地球科学:ウラン鉱山のバイオレメディエーションの難しさ
Nature Communications
2013年12月18日
廃鉱によるウラン汚染は、これまで考えられていた以上に深刻な問題となる可能性のあることが明らかになった。この結果を報告する論文が掲載される。この新知見は、汚染された土壌と表層水からのウランの除去を目指すウラン鉱山のバイオレメディエーション戦略の見直しにつながるかもしれない。
ウラン鉱石は、世界20か国で採掘され、主に原子力発電の燃料として使用されている。近代的施設での操業は厳重に管理されているが、旧式の廃鉱によって周辺環境のウラン汚染が起こっている。そこで、造成湿地で移動性ウラン(VI)種を移動性の低いウラン(IV)種に変換することで地下水と表層水の汚染を抑制することを目指したバイオレメディエーションが行われている。今回、Yuheng Wangたちは、ウラン(IV)種の移動性の低さを判定するため、フランスでウラン鉱山の影響を受けた湿地(ウラン(IV)種の濃度が高いことで知られる)を流れる水路付近の土壌をサンプリングした。それを分析したところ、土壌中でウラン(IV)種が鉄粒子と有機物粒子と結合しており、このことで、ウラン(IV)種の移動性が高まり、基本的に、ウラン(IV)種が水流に運び込まれたことが明らかになった。
造成湿地系は、ウラン汚染を抑制する方法として多用されている。今回の研究で得られた知見は、湿地を用いたウランのバイオレメディエーション戦略を設計する際には、ウラン(IV)種が有機物粒子との結合を介して放出されている可能性を考慮に入れるべきことを示している。
doi:10.1038/ncomms3942
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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