Research Press Release
【材料】遮熱「スマート」ウィンドウに太陽電池を組み込む
Scientific Reports
2013年10月24日
可視光透明性を維持しつつ(近赤外光の形での)熱の伝達をインテリジェントに制御できる「スマート」ウィンドウに太陽電池が組み込まれた。こうして作られたスマートウィンドウは、1つのデバイスで省エネルギーとエネルギー生成を共に実現できる。
二酸化バナジウム(VO2)は、スマートウィンドウの製造に用いる材料として関心を集めている。その理由としては、VO2が、可逆的で温度に依存する相転移を起こすことが挙げられる。つまり、VO2は、臨界温度の摂氏68度未満では絶縁性を示し、赤外光に対して透明となり、摂氏68度を上回ると、金属状態となり、赤外光を反射する。透明であることの必要な窓ガラスに対して、エネルギーの効率的な利用と貯蔵のできる太陽電池を組み込むことは、難題となっていた。
今回、Yanfeng Gaoたちは、環境温度に応じて太陽からの赤外線放射を制御し、ガラスパネルの周囲に配置された太陽電池に一部の光を散乱させるVO2薄膜を用いたスマートウィンドウを設計した。Gaoたちは、この新しいスマートウィンドウが、暖房、照明、冷房のためのエネルギー費の節減に寄与する可能性を秘めていると考えている。
doi:10.1038/srep03029
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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