Research Press Release
心臓にも光遺伝学
Nature Methods
2010年10月4日
光で刺激することができる心臓細胞を遺伝子工学的に作製したという研究成果が、Nature Methods(電子版)に発表される。この細胞は、正常な心臓の機能を研究するために心臓を刺激することを可能にし、げっ歯類を使用する研究でペースメーカーとして光を利用する可能性を切り開くものである。
光遺伝学とよばれるこの確立された方法では、遺伝子にコードされた微生物由来の光感受性タンパク質を利用して、光で細胞の挙動を制御する。陽イオンチャネルであるチャネルロドプシン2(ChR2)は、興奮性の細胞の表面で発現すると、青色光のパルスで開いて電気シグナルの伝達を引き起こす。ChR2を過剰発現する神経細胞は、選択的に活性化させることができるため、神経生物学では一般的なツールとなっている。P Sasseたちは、ChR2の用途を「心臓細胞」という別種の興奮性細胞に拡張した。
研究チームはマウスの心筋細胞でChR2を発現させ、ペトリ皿および遺伝子組み換えマウスの心臓で増殖するその細胞を光で正確に刺激した。光のパルスは、長時間にわたる局所的な電流を心臓細胞に引き起こした。
doi:10.1038/nmeth.1512
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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