Research Press Release
音声を分類
Nature Neuroscience
2010年10月4日
実際は連続体を成す音でも、特定のカテゴリーに分けて認知してしまう現象をカテゴリー知覚という。Nature Neuroscience(電子版)に発表される研究成果によると、この知覚に相関するのは脳の特定領域の活動であり、聞いた音の物理特性にはよらないことが示されている。
ヒトの脳の後上側頭回が音声処理に重要なことは以前に知られている。E Changらは後上側頭回の電気活動を、てんかんや脳腫瘍の治療のため覚醒下外科手術を受けている患者から直接記録することで、この領域に迫った。患者に同じ音高で連続的に変わる人工音声を聞かせたところ、これらの音は/ba/、/da/、/ga/分類のどれかとして聞き取られた。上側頭回の電気活動には患者の知覚と一致したクラスターが現れたことから、脳の応答は音声の物理特性にほとんど影響されず、その人に音がどう聞こえたかを表していることが示唆される。したがって今回の結果は、脳が入力刺激をより抽象的な表現に変換する仕組みに洞察を与えるものといえる。
doi:10.1038/nn.2641
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change