Research Press Release
核酸がサルをエボラウイルスから守る
Nature Medicine
2010年8月23日
遺伝子発現の調節に使われることの多い(モルホリノオリゴマーとよばれる)核酸誘導体が、霊長類をエボラウイルスの致死作用から守るとの報告が寄せられている。ヒトでの検証はまだだが、ヒトの治療にも有効な可能性がある。
高病原性のエボラウイルスや類縁のマールブルグウイルスは、ウイルス性出血熱の原因となるが、ワクチンも治療法も存在しない。
S Bavariたちは、ウイルス遺伝子に対するモルホリノオリゴマーをアカゲザルに注射すると、エボラウイルスやマールブルグウイルスに感染しても死なないことを明らかにした。重要なのは、ウイルスに曝露してから1時間後にモルホリノオリゴマーを投与しても防御効果があったことで、緊急事態の場合にもこの方法が有望な治療法になることが注目される。
doi:10.1038/nm.2202
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications
-
社会科学:週4日勤務制が労働者のウェルビーイングを向上させるNature Human Behaviour
-
動物の行動:犬のテレビを視聴する習慣は性格によって異なるScientific Reports
-
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
素粒子物理学:CERNで観測されたつかみどころのない物質と反物質の非対称性Nature
-
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature