Research Press Release
食道がんと胃がんに関連する遺伝的多型
Nature Genetics
2010年8月23日
食道がんと胃がんの両方に関連する遺伝的多型について報告する2つの研究論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。これらの論文は、患者数の多い食道がんと胃がんの発生病理に何らかの共通のメカニズムが存在する可能性を示唆している。
食道扁平上皮がんと胃がんは、それぞれアジアの地域での罹患率が最も高く、中国では最も多いがんに分類されている。L-D Wangらは、中国の症例(合計9,053例)を対象とした食道扁平上皮がんのゲノムワイド関連解析について報告している。今回の解析で、Wangらは、食道扁平上皮がんに関連する2つのゲノム領域を同定し、さらに胃がん症例(2,766例)を対象とした関連解析で、この同じ2つのゲノム領域が胃がんにも関連していることを見いだした。
これとは別に、C Abnetらは、中国での5つの独立した研究による胃がん症例(2,240例)と食道扁平上皮がん症例(2,115例)を対象とした食道扁平上皮がんと胃がんのゲノムワイド関連解析を並行して行った。この解析では、Wangらが同定したゲノム領域の1つが食道がんと胃がんの両方に関連するゲノム領域として同定された。
doi:10.1038/ng.648
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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