Research Press Release
凄腕の病原体
Nature Immunology
2010年7月12日
結核菌Mycobacterium tuberculosisが感染中に宿主細胞の細胞死をどのように調節するかによって、免疫細胞の応答が大きく変化することが明らかになった。
細胞の死に方には2通りの方法がある。アポトーシスでは細胞の膜は無傷のまま保たれるが、壊死では細胞膜が壊れて、細胞の中身が周囲の細胞に接する。病原体はこれらの細胞死経路を操作して、自身が確実に生き残り、増殖できるようにする。結核菌はヒトの病原体の中でも最も手強いものの1つで、宿主細胞(肺のマクロファージ)のアポトーシスを阻害し、壊死を促進することが知られている。結核菌は、壊死によって周囲の健康な細胞へと広がる。
S Beharたちは、アポトーシスが宿主にとって有利なのは単に病原体を閉じ込めるからだけでないことを明らかにした。アポトーシス細胞由来の小胞が、結核菌感染と闘う免疫系の主要な戦闘員であるT細胞の活性化を促すからでもあるという。つまり、病原性の強い結核菌株は、宿主細胞のアポトーシスを阻害することによって広がりやすくなるとともに、菌を殺す特殊な免疫細胞が感染部位へと集まるのを遅らせ、肺の結核菌感染の制御に直接的な影響を及ぼしている。
doi:10.1038/ni.1904
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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