Research Press Release
ループスの免疫増幅役
Nature Medicine
2010年5月31日
好塩基球はアレルギーや寄生虫感染の際に活性化される免疫細胞だが、これがループス(狼瘡)の発生にもかかわっていることがわかった。この知見は、特定の免疫細胞や抗体を阻害してループスを治療する方法の開発に今後役立つだろう。
全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡)は慢性の炎症性自己免疫疾患である。この病気の特徴の1つは、自己の体の細胞を認識、攻撃する抗体が形成されることで、それによって腎疾患が起こることがある。
J Riveraたちは、エリテマトーデスのマウスモデルの血清中では、特定の型の自己抗体(IgE)が増加していることを発見した。このIgEは好塩基球を刺激し、これが腎臓を攻撃する自己抗体をさらに生産させる。Riveraたちは、好塩基球かIgEを枯渇させると自己抗体の形成が抑制され、マウスが腎障害を起こさなくなることを明らかにした。同様の結果がエリテマトーデス患者でも観察されており、IgEの増加や好塩基球の活性化が、エリテマトーデスや腎障害の重症度に関係する。
doi:10.1038/nm.2159
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:アンモライト宝石が鮮やかな色を得る仕組みScientific Reports
-
古生物学:小さなティラノサウルスの謎Nature
-
生物学:新しい抗毒素が蛇咬傷から守るNature
-
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
-
細胞生物学:ホッキョククジラの長寿の謎が解明されるNature
-
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
