Research Press Release
地球温暖化はどのようにエルニーニョに影響を及ぼすか?
Nature Geoscience
2010年5月24日
地球温暖化はおそらくエルニーニョとラニーニャの強度と発生頻度を決定している物理過程の釣り合いに変化をもたらすと、Nature Geoscience(電子版)の概説が報告している。増幅と減衰の効果は両方共に影響を受けると考えられるので、この太平洋の「シーソー」が温暖化した世界で全体としてどのように進化するかを予測することはまだできない。
M Collinsらは、次の100年間における熱帯太平洋の気候について予想される変化を概観した。彼らによれば、熱帯太平洋東部における湧昇流の強度や海面水温と大気の温度との間の相互作用などの大気-海洋系の個別の要素に対する気候温暖化の影響はよく理解されていることがわかった。しかし、すべての予想されている変化がエルニーニョに同様な影響を及ぼすわけではない。Collinsらは、エルニーニョとラニーニャに関連した気候変動度は、その背後にある過程の変化の釣り合いによって、増幅されたり、弱められたり、あるいは全く変化しないこともあると結論している。
doi:10.1038/ngeo868
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature