Research Press Release
トマトの雑種強勢
Nature Genetics
2010年3月29日
トマトの場合に、SFT遺伝子の片方が変異していると収量が最大60%アップすることが明らかになり、このことを報告する論文が、Nature Geneticsに掲載される。この研究では、1つのヘテロ接合変異によって植物の成長力が向上しうることが示唆されている。
雑種強勢は、よく知られた遺伝現象で、遺伝的に異なる両親から生まれた子は、両親よりも成長力やその他の形質がすぐれていることを特徴とする。雑種強勢には、非常に大きな実用的価値があり、農業に広く応用され、多くの作物がハイブリッド種子によって栽培されている。ところが、雑種強勢の背後にある遺伝的な仕組みは十分には解明されていない。
Z Lippmanらは、SFT遺伝子の片方が変異しているだけで、トマトの果実収量が増加することを見いだした。この研究では、トマトを多様な農業条件下で試験し、その結果、SFT遺伝子のヘテロ接合変異を有するトマトの果実収量が一貫して多いことがわかった。
doi:10.1038/ng.550
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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