Research Press Release
西オーストラリアの干ばつは750年間でも類を見ないものであった?
Nature Geoscience
2010年2月8日
過去数十年にわたりオーストラリア南西部で起きた深刻な干ばつは、過去750年間と比べても極めて異例なものだった可能性があることが報告される。その報告は、乾燥した冷たい空気をオーストラリアにもたらし、暖かく湿気を含んだ空気を東南極に運ぶ大気の循環パターンの結果として、オーストラリア南西部の干ばつと東南極ロー・ドームにおける大量の降雪との間に密接な関連があることを明らかにしている。
T van Ommenらは、南極ロー・ドームとオーストラリア南西部における降雨記録を比較して強い負の相関があることを発見した。ロー・ドームの氷コアデータは、最近のロー・ドームにおける異常な降雪は750年間の記録全体を通じた変動度と比べても極めて異例なものであり、同じことがオーストラリアの干ばつにも当てはまる可能性があることを示唆している。
著者らは、オーストラリア南西部の干ばつと東南極の大量の降雪の原因となった空気の流れは、人類起源の気候変動に関連した循環の変化に対する予測と一致することを指摘している。
doi:10.1038/ngeo761
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature