Research Press Release
肺のナノ粒子の動きを測定する
Nature Biotechnology
2010年11月8日
肺に入れたナノ粒子が、その後、体内でどのように振る舞うかの報告が寄せられている。この知見は、将来の薬剤送達方法や、大気汚染、発がんの研究に重要な意味をもつ可能性がある。
J FrangioniとA Tsudaのグループは、近赤外蛍光画像化法を利用して、ラットの肺に投与したナノ粒子を追跡した。ナノ粒子のどのような性質が、組織内への輸送やその後の体内からのクリアランスに影響するかを知るため、ナノ粒子の化学組成、大きさ、表面電荷をさまざまに変えて調べたところ、正電荷をもたない(non-positively charged)直径34ナノメートル未満の粒子が迅速にリンパ節に運ばれること、正電荷と負電荷を同量もつ直径6ナノメートル未満の粒子が腎臓を経て体内から迅速に排除されることが明らかになった。
環境中の汚染物質が健康に与える影響に関していうと、この研究によって、なぜ特定のナノ粒子がほかよりも毒性が強いのかの説明がしやすくなる。また、ナノ粒子の大きさや電荷を化学的な方法で変えることによって、ナノ粒子汚染物質の毒性を軽減できる可能性があることがわかる。
doi:10.1038/nbt.1696
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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