Research Press Release
エネルギーに変換された情報
Nature Physics
2010年11月15日
情報はエネルギーに変換できる。このことが、Nature Physics(電子版)で報告されている実験で実証されている。この研究は、過去150年の間賛否両論の議論が行われてきた思考実験を実践したものだ。
佐野雅己(東京大学)たちは、熱力学の法則を破っているように思われる盛んに論議されたアイデアを調べるために、統計力学と情報処理の関係を探っている。19世紀の中頃にジェームズ・クラーク・マックスウェルは、仮説上の知性が、気体の状態に関する詳しい知識を用いて、熱くてエネルギーの高い分子と冷たくてエネルギーの低い分子を分離できると示唆した。これは、熱から仕事を抽出できることを示しているが、熱力学的には禁じられている。最近の研究で、エネルギーを得るのに使われているのは系に関する情報であることが示されている。
これまで、マックスウェルのアイデアは理論的な仮構のままであったが、佐野たちは、そのような情報からエネルギーへの変換を実験的に実証している。
doi:10.1038/nphys1821
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature
-
微生物学:マウスにおけるマイクロバイオームと仔の健康との関連Nature
-
分子生物学:運動の健康効果の基礎をラットの研究で解明するNature
-
微生物学:プラスチックを分解する細菌が廃棄物の削減に役立つかもしれないNature Communications
-
遺伝学:「ケビン・ベーコン数」遺伝子の研究Nature Communications
-
考古学:アフリカ北部の狩猟採集民の食事は植物中心だったNature Ecology & Evolution