Research Press Release
【行動生態学】地中でくつろぐキツネザル
Scientific Reports
2013年5月2日
マダガスカル島の東部で、地中に穴を掘って冬眠するコビトキツネザルが発見された。コビトキツネザルの冬眠習慣については、これまで解明が進んでいなかったが、今回の新知見で、その詳細が明らかになった。
マダガスカル島のコビトキツネザルは、霊長類で唯一の義務的冬眠動物として知られている。マダガスカル島西部の森林に生息するフトオコビトキツネザルは、樹木に穴を掘って7か月間冬眠するが、東部に生息する近縁種の行動については証拠が乏しかった。今回、Marina Blancoは、マダガスカル島東部のコビトキツネザルが、1年のうち3~6か月間、断熱性の高い巣穴で冬眠していることを明らかにした。このコビトキツネザルは、二次根、根毛、腐植質、葉物質からなる海綿状の層の下に埋もれて冬眠していた。
こうした巣穴は、西部のコビトキツネザルが用いる樹木の穴より断熱性が高く、この巣穴の方が、高地にある東部の森林の低い気温に適しているとBlancoは考えている。爪のない霊長類が、地中に移動して、厳しい冬から逃れることができる点が、今回の研究によって明らかになった。
doi:10.1038/srep01768
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature