Research Press Release
【微生物学】ナトリウムイオンを汲み出すポンプ
Nature Communications
2013年4月10日
これまで知られていなかった方法で太陽光エネルギーを利用して、プロトンではなく、ナトリウムイオンを細胞内から外へ輸送するタンパク質を有する海洋微生物が明らかになり、微生物が増殖のためのエネルギーを得る新たな方法が示された。
ロドプシンは、海洋微生物の体内に広く分布しており、大部分のロドプシンは、光エネルギーを利用して、微生物の細胞膜を通してプロトンを汲み出し、プロトン勾配を形成し、これがATP合成に利用される。今回、神取秀樹(かんどり・ひでき)たちは、海洋細菌のフラボバクテリウム属Krokinobacter eikastusに由来する2種のロドプシンの機能を調べた。その結果、その一方が原型的なプロトンポンプで、もう一方の主たる機能がナトリウムイオンのポンプであることが判明した。この発見は、微生物の太陽光利用のレパートリーの理解を深めるだけでなく、光を利用してニューロンを制御する新しい臨床的手段の開発にも寄与する可能性がある。
doi:10.1038/ncomms2689
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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